3.法制度の整備
国の情報関連法は、情報公開法と個人情報保護法の2つからなる。さらに、著作権等の知的財産権の保護、行政手続法があり、また、個々の省庁が所掌する個別法で情報関連部分があるものがあげられる。
国の情報2法については、様々な経緯から情報の保護が先行し、情報公開が現在、法案作成段階に入った状況にある。しかしながら、この2法の関係は、情報公開が先にあり、その開示の例外として個人に関する情報があるというものである。地方公共団体においては情報公開が先行し、保護対策が後続するという団体が比較的多い。これら情報2法の行政の情報化との関連は第3章で記述したとおりであるが、2法の法律的な特徴として、以下のような点があげられる。
* 2法いずれも、行政と国民との関係に関する手続を定めるものであり、既存の個別法との整合性が必要とされる。それだけに各省庁との整合性確保のための調整が重要であり、それがまた、極めて困難であることになる。
* 公開と保護という正反対の性格を持つものではあるが、両者は表裏一体の関係にあり、整合性が確保されていなければならない。
* 行政機関が組織的に保有する情報の開示、保護であるから、いずれにしても、行政機関はこれら情報の適正な管理が要求される。また、2法の適切な運用にあたっては情報技術を活用した情報管理システムの構築が求められることになる。
情報2法の制定の経緯から、国の場合には未だ情報公開法が制定されていないが、要綱という形で骨格とその理念が示された段階である。今後、現段階における要綱の理念を実現するような法の制定が期待されるところである。この法律が制定されると、既存の個人情報保護法は以下の観点から見直しが必要とされる。
* 個人情報保護法においては、電子計算機処理されている情報に限定されているが、情報公開における行政情報は媒体を問わない。紙ベースの個人情報の漏洩の危険性は依然としてあり、実際発生していることからも、紙ベースの個人情報の保護についても対象とするような検討が必要とされよう。
* 情報公開法の開示の対象外とされる「個人情報」と、個人情報保護法でいう個人情報の定義には差異があり、今後この要綱に基づく情報公開法が制定され、運用されるようになると混乱が生じるおそれがある。すなわち、前者では個人情報をやや緩めに
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